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会報 詳細【ニュースレターNo.90】 - 一般社団法人 日本計量生物学会
会報 詳細
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- 日本計量生物学会 ニュースレターNo.90
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巻頭言 「転身一年を経過して:新米教員の独り言」
- 2006年度日本計量生物学会シンポジウムのプログラムについてのお知らせ(第2報)
- 2005年計量生物セミナー記録集作成状況
- 2006年学会賞,功労賞候補 推薦のお願い
- 学会誌「計量生物学」への投稿のお誘い
- 理事会議事録
- 2006年度統計関連学会連合大会企画進行状況に関する報告
- 関連情報のご案内/学会員の声
- 編集後記
- 2006年度日本計量生物学会シンポジウムのプログラムについてのお知らせ(第2報)
巻頭言 「転身一年を経過して:新米教員の独り言」
森川敏彦(久留米大学バイオ統計センター)
この2月3日に久留米大学大学院医学研究科バイオ統計学群の修士論文公開発表会が開催された. 様々なバックグラウンドをもちその多くが職業を持ちながら学び励んできた学業の集大成である. リラックスした発表しやすい環境が整えられ, 10名弱の学生達が晴れの舞台で各20分思いのたけをぶつけて発表した.
グラフィカルモデリングや構造方程式モデリング, support vector machine(SVM)やrandom forest(RF)など最近の統計手法を駆使して, バイオ統計の名に恥じず, 数理に偏することなく, それぞれ公衆衛生・社会医療データ,臨床データ・環境汚染データなどの解析と評価に挑んだ結果の発表で, 立派に演じ切った彼らに感動させられた. 2年前はゼロから出発した学生ばかりである. その彼らが2年後にはこのような発表をできるまでに成長した. 感動すると同時にそこに本学のバイオ統計学群の特徴があるかと思う.
なぜ彼らはここまで成長したのか? 勿論教育システムを構築し強力なリーダシップで学生達を指導してきた柳川・角間両教授の熱意と努力なしには成し得なかったろうが, 最たるものは疑いもなく学生達の強いモチベーションであろう. 彼らはバイオ統計学の必要性を確信し, 自分自身のモチベーションを持って自ら志願し入学してきた. 一人は勤務医で子育てをやりながら, 忙しい合間を縫って古いカルテを繰りデータを探し出してEXCELに打ち込み研究データとした. その過程で日ごろからデータを取っておくこと, また一人ひとりのデータの信頼性の重要性を, 肌身で感じたという. 別の学生は自らの研究結果を通して社会保障制度がどのような根拠に基づいて組み立てられているのかに疑問を呈し, データに基づいた政策を立てるべきであるとの主張に到達した.
ポストドク諸氏の側面からのサポートも見逃すことはできない. 修論謝辞にもあるように昼夜・土日を問わぬアドバイスとプログラミングサポートが学生を支え, ここまで彼らを成長させた. 正に三位一体の教育体制がここまで彼らを導いたと思う.
西で生まれたバイオ統計学の教育拠点, 久留米大学バイオ統計センターの統計教育が, これから定着し順調に育ち発展していくことを願って止まない. 現在広島の放影研, SeattleのWashington大学と久留米大学バイオ統計センターとの間でリサーチトライアングルを形成するプログラムが進行しつつあり, 1月半ばにはScott Davis教授率いるWashington大学疫学部の一行が, 児玉先生ら放影研の先生方と一緒に本学を訪れ, mini-symposiumが開かれた. 今後相互の活発な人事交流が予定されている.
自分のことを書くスペースが無くなったが, 私は一昨年末に長年お世話になった武田薬品を辞し, 昨年から久留米大学バイオ統計センターに席を置かせて頂いている. 浅学非才の小生にとって週に7コマを毎週続けていくこの一年は, 正直言ってきつかった. 学会を除き外部からの依頼を殆どすべて断って, 自分の全エネルギーを授業に投入した.
現在単身赴任である. この経験をして初めて単身の人たちの苦労を知った. またいわゆる出稼ぎの人たちの苦労も理解した. 日ごろ生活を陰で支えてくれた家内の苦労も知った. 逆説的であるが, その意味で非常に意味のある転身であったと思う.
周知のように国内外のバイオ統計を代表する先生方に非常勤で教えて頂いているが, 宇宙怪人しまりすさんからは, 「時々は家に帰らないといけません」, 岩崎先生からは「会社と同じペースでやっていてはだめよ」とありがたい声を掛けて頂いた. 感謝してます! またCornell大学のAndrew Leon先生からは, 「(私のかなり以前に書いた)論文(例の非劣性の論文ではありません)の著者の顔が見えてよかった」と言われ, 一緒に論文を書こうと誘われた.
さて最近何人かの有望な若者が統計担当審査官として製薬会社からPMDA(医薬品機構)に移った. これは画期的なことであるが, 無事採用された人たち, おめでとう. あなた方も製薬会社では大変苦労してこられたと思うが, その貴重な経験を新薬審査の場で活かしてもらいたい. 心からエールを送ります. どちらの立場でもものを見ることができることは大きな強みです. 頑張って下さい.
最後にこちらに来るときに持ってきた油絵のセット一式がずっとクローゼットで眠っている. 早く冬眠から覚ましてやりたいものである. 新しい趣味となるはずであった3次元芸術, 彫刻も再開したいものである. 利根川の「坂東太郎」, 吉野川の「四国三郎」と並んで, 日本三大河川の一つに数えられる「筑後次郎」の雄大な流れを眼下に眺めつつ. 久留米大学医学研究科バイオ統計学群に興味のある方は, HP http://www.med.kurume-u.ac.jp/med/biostat/を覗いてみてください.
2006年度日本計量生物学会シンポジウムのプログラムについてのお知らせ(第2報)
企画担当理事 大橋靖雄, 松浦正明, 森川敏彦
既にHPに掲載しておりますが, 2006年度日本計量生物学会シンポジウムを下記の要領で開催します. また, 一般講演を募集しますので奮ってご参加下さい. 本シンポジウムのテーマは「複雑な観察データの解析」です. 今後シンポジウムとしての性格をより明確に発揮できる催しにしたいと考えておりますので, 皆様にはこれまで以上に本シンポジウムのテーマに沿った演題の積極的な発表をお願い致します. よろしくご協力をお願い致します.
1. 期日 | 2006年5月25日(木)シンポジウム 26日(金)午前チュートリアル |
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2. 会場 | 国立保健医療科学院講堂 |
3. 参加費 | 正会員3,000円, 非会員5,000円, 学生(正会員, 非会員とも)1,000円 ※応用統計学会は協賛学会のため, 学会員の参加費は相互に会員扱いになります |
4. テーマ | 「複雑な観察データの解析」 複雑なデータの解析に関する最近の理論展開と応用を踏まえ,また疫学やバイオインフォマティクス・環境等への応用を意識して,シンポジウムテーマを「複雑な観察データの解析」としました. |
5. 特別セッション | ・オーガナイザー: 丹後俊郎 (国立保健医療科学院) ・テーマ: 「空間疫学の新展開-New Development of Spatial Epidemiology」 ・プログラム 0. 挨拶及び紹介:丹後俊郎(国立保健医療科学院)「本セッション(空間疫学の新展開)について」 1. 大瀧慈, 佐藤健一, 川崎裕美(広島大学), 柳原宏和(筑波大学), 山口直人(東京女子医大), 加茂憲一(札幌医大),吉見逸郎(国立がんセンター), 金子聡(長崎大), 祖父江友孝(国立がんセンター) 「Empirical Bayes method for estimating spatial-time distribution of cancer mortality using nonparametric smoothing」 2. 中谷友樹(立命館大学), Fotheringham AS, Charlton M (National Centre for Geocomputation, Ireland), Brunsdon C (University of Leicester, UK) 「Geographically weighted Poisson regression for disease associative mapping」 3. 高橋邦彦, 横山徹爾, 丹後俊郎(国立保健医療科学院), Kulldorff M (Harvard Medical School, USA ) 「Scan statistics for detecting spatial and space-time disease clusters」 4. 片岡裕介, 浅見泰司(東京大学) 「空間分布の少数の母点によるカーネル密度近似法とその応用」 |
6. 一般講演 | 以下の要領で一般講演を募集します (1) 申し込み方法: 発表者氏名, 所属(共同の場合は全員の氏名 ,所属),講演題目, 連絡先を明記の上, 電子メール, ファックスあるいは葉書で下記にお送りください. また, Biometric Bulletinへの掲載のためにお手数ですが, 講演題目, 発表者氏名, 所属についての英語版も合わせてお送りください. 〒107-0062東京都港区南青山 6-3-9 大和ビル 2F 公益財団法人 統計情報研究開発センター内 日本計量生物学会事務局 e-mail: biometrics@sinfonica.or.jp FAX: 03-5467-0482 HP: http://wwwsoc.nii.ac.jp/jbs/ (2) 申し込み締切(必着): 2006年3月17日(金) (3) 予稿原稿締切(必着): 2006年4月21日(金) ご講演を申し込まれた方には予稿原稿執筆要領をお送りします. |
7. その他 | (1) シンポジウム期間中に日本計量生物学会総会を開催します. 総会中に学会賞・奨励賞の授賞式を行います. (2) シンポジウム翌日の26日(金)午前に「Rによる生物統計解析」のテーマでチュートリアルセミナーを開催の予定です. 下記(またはHP)をご参照下さい. (3) 5月26日(金)午後には同会場にて応用統計学会チュートリアルセミナーが, また27日(土) には応用統計学会シンポジウムが開催されます |
チュートリアルセミナー
今回のチュートリアルのテーマは, 「Rによる生物統計解析」です. 近年統計解析ソフトRの利用者は世界中で爆発的に増えています. Rは無料ソフトで使いやすく, また世界の研究者相互の協力によりその機能は進化し続けています. 今回のセミナーでは, 中澤港先生にRによる統計解析の「入門」的な話をして頂き, ついで吉村公雄先生に「ゲノム解析」におけるRの利用の話をして頂きます. 奮ってご参加下さい. なお本チュートリアルではPCをお持ちの方には実習的に学ぶことを可能とする企画としましたので, PCをお持ちの方はご持参下さい(各机に電源あり).その場合事前にダウンロードしておいて下さい.
(http://www.okada.jp.org/RWiki/ または http://cran.r-project.org/)
なお本チュートリアルは原則的に事前登録制とします(申込方法は下記参照).
1. 日時 | 2006年5月26日 (金) 10:00-12:30(時間は若干変更の可能性あり) |
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2. 会場 | 国立保健医療科学院講堂 http://www.niph.go.jp/access/index.html (〒351-0197 埼玉県和光市南2-3-6) |
3. 参加費 | 正会員2,000円, 非会員5,000円, 学生 (正会員, 非会員とも) 1,000円 ※応用統計学会は協賛学会のため, 学会員の参加費は相互に会員扱いになります. |
4. テーマ | 「Rによる生物統計解析」 |
5. 講師と演題 | 中澤港先生(群馬大学大学院医学研究科): 「Rを用いた生物統計解析入門」 吉村公雄先生(国立がんセンター): 「ゲノム解析におけるRの利用」 |
6. 申込方法 | 参加ご希望の方は, チュートリアルセミナー申し込み用紙 (word:URL http://wwwsoc.nii.ac.jp/jbs/applicationform.tu(2006).doc) もしくは, (pdf:URL http://wwwsoc.nii.ac.jp/jbs/applicationform.tu(2006).pdf)に 1)氏名(フリガナ) 2)会員(応用統計学会員を含む)・非会員・学生 3)所属・連絡先 を明記の上, 5月18日(木)までに下記までお申込ください. 〒107-0062 東京都港区南青山 6-3-9大和ビル2F 公益財団法人 統計情報研究開発センター内 日本計量生物学会事務局 e-mail: biometrics@sinfonica.or.jp FAX: 03-5467-0482 申込受付後, 受付登録通知(参加費振込口座含む)をお送りいたします. ※キャンセル及び参加費の返金はいたしませんのでご注意ください. |
7. その他 | シンポジウムおよびチュートリアル当日に日本計量生物学会への入会の意志を示された方は, チュートリアルおよびシンポジウム(正会員:3,000円, 非会員5,000円, 学生1,000円)共,参加費は正会員扱いと致しますので, 是非この機会にご入会下さい. |
2005年計量生物セミナー記録集作成状況
計量生物セミナー担当理事:森川敏彦,上坂浩之
昨年9月に実施しました2005年計量生物セミナーの記録は, 計量生物学特集号として発行される予定であることを,ニュースレター89号でお知らせしています.記録集は,セミナーで報告された予稿に基づく論文と, セミナー後に寄せられた討論意見及び討論意見への回答, ならびに編集者の序から構成される予定です.現在, 特別編集委員による査読を終了し, 査読意見に基づく改訂を行っていただいているところです. 講演者の皆様ならびに特別編集委員一同, 3月末の脱稿を目標として作業を進めておりますことをお知らせいたします.
また, 今後のセミナーの話題を募集しています. 話題に関するご希望を,上坂(UESAKA_HIROYUKI@lilly.com)または森川(morikawa_t@med.kurume-u.ac.jp)宛お寄せ下さい.
2006年学会賞,功労賞候補 推薦のお願い
学会賞担当理事:佐藤俊哉
日本計量生物学会学会賞, 功労賞の推薦をお願いします. 自薦, 他薦を含め, 会員の皆様に広く推薦をお願いいたします.下記の様式により学会賞, 功労賞ともに学会賞選定委員会宛てにお送りください.
奨励賞につきましては日本計量生物学会誌, Biometrics誌, またはJournal of Agricultural, Biological, and Environmental Statistics誌に掲載された論文の著者で, 原則として40歳未満の本学会の正会員または学生会員の中から選定委員会で選出いたします. 候補者には選定委員会から受賞条件を満たすかどうか, 確認させていただくことがありますので, ご協力をお願いします.
受賞者の発表と表彰式は5月の日本計量生物学会総会(シンポジウムの際に開催予定です)で行います. 奨励賞の受賞者の方には統計関連学会連合大会(仙台)にて受賞講演をしていただきます. いずれの賞もニュースレターなどで各賞の受賞理由を公表いたします(推薦者名は非公開です).
奨励賞の副賞は万有生命科学振興国際交流財団からご寄付いただいております.
【推薦の様式】
A4版1枚に, 学会賞または功労賞推薦書と14ポイントで書き, 本文10.5ポイントで, 以下の内容をご記入下さい.(資料の添付等は自由です.)
1) 被推薦者名, 所属, 連絡先(住所, 電話, e-mail)
2) 推薦理由
3) 推薦期日
4) 推薦者(複数の場合は全員の氏名)
5) 推薦者(複数の場合は代表者)の所属および連絡先(住所, 電話, e-mail)
6) 推薦締め切り期限: 平成18年3月31日
7) 推薦書送付先:
〒107-0062 港区南青山6-3-9 大和ビル2階
日本計量生物学会事務局学会賞選定委員会 宛
会長丹後俊郎, 学会賞担当理事佐藤俊哉
学会誌「計量生物学」への投稿のお誘い
編集担当理事:松山 裕
本学会雑誌である「計量生物学」に会員からの積極的な投稿を期待しています. 会員のためになる, 会員相互間の研究交流をより一層促進するための雑誌をめざすため,以下の5種類の投稿原稿が設けてあります.
1. 原著(Original Article)
計量生物学分野における諸問題を扱う上で創意工夫をこらし, 理論上もしくは応用上価値ある内容を含むもの
2. 総説(Review)
あるテーマについて過去から最近までの研究状況を解説し, その現状, 将来への課題,展望についてまとめたもの.
3. 研究速報(Preliminary Report)
原著ほどまとまっていないがノートとして書き留め, 新機軸の潜在的な可能性を宣言するもの.
4. コンサルタント・フォーラム(Consultant’s Forum)
会員が現実に直面している具体的問題の解決法などに関する質問. 編集委員会はこれを受けて, 適切な回答例を提示, または討論を行う. なお, 質問者(著者)名は掲載時には匿名も可とする.
5. 読者の声(Letter to the Editor)
雑誌に掲載された記事などに関する質問, 反論,意見.
論文投稿となると, 「オリジナリティーが要求される」, 「日常業務での統計ユーザーにとっては敷居が高い」などを理由に二の足を踏む会員が多いかもしれませんが, 上記の「研究速報」, 「コンサルタント・フォーラム」 は, そのような会員のために設けられた場であり, 活発に利用されることを特に期待しています. いずれの投稿論文も和文・英文のどちらでも構いません. また, 2004年度から学会に3つの賞が設けられ, その一つである奨励賞は, 「日本計量生物学会誌, Biometrics, JABESに掲載された論文の著者(単著でなくても第1著者かそれに準ずる者)で原則として40歳未満の本学会の正会員または学生会員を対象に, 毎年1名以上に与えられる賞」 です. 最近は履歴書の賞罰欄に「なし」と書くと公募の際に引け目を感じるくらいです. 会員諸氏の意欲的な論文投稿をお待ちしております. なお, 投稿に際しては, 雑誌「計量生物学」に記載されている投稿規程を参照してください.
理事会議事録
庶務担当理事:山岡和枝
2005年度第5回e-mail理事会 議事録
標記e-mail理事会が2005年11月6日~11月10日にかけて行われ,下記の議事について審議した.
1.審議事項-25周年記念事業について
1) 2006年の連合大会で「(仮称)生物統計学の社会的貢献:四半世紀の経験と今後の展望」等といった形で25周年記念関連セッションを設ける.
2) 25周年記念関連セッションの内容を含め, その他の可能な事業を議論するための「(仮称)25周年記念行事ワーキンググループ」を立ち上げる. メンバーは会長にお任せいただく.
上記2点について審議され, 25周年記念関連セッションを設けることが承認され, 25周年記念行事ワーキンググループを立ち上げることになった.
2005年度第6回e-mail理事会 議事録
「2005年が25周年」と判断したことに大きな疑問が生じてきたため, 学会の設立時期を確定するという目的で緊急email理事会が2005年11月14日~11月18日にかけて行われ, 下記の議事について審議した.
1.審議事項-学会設立時期について
学会設立時期は「1980年9月」と判断されたが, その根拠となる資料が見つかったためこれを基に再度審議され,第1回理事会開催時点である同時期を設立時期であることが再確認された.
2006年第1回e-mail理事会 議事録
標記e-mail理事会が2006年1月6日~1月11日に行われ, 下記の議事について審議した.
1.会員の入会と退会について
新規入退会者について確認され, 承認された.
2.次期対面理事会について
次回対面理事会の日程調整が行われた.
2006年度統計関連学会連合大会企画進行状況に関する報告
統計関連学会連合企画担当理事:岸野洋久, 上坂浩之
連合大会企画委員会委員長:矢島美寛(東京大学)
2006年度統計関連学会連合大会は, 応用統計学会, 日本計量生物学会, 日本統計学会の参加および日本行動計量学会, 日本計算機統計学会, 日本分類学会の協賛により, 2006年9月5日(火)から9月8日(金)までの日程で, 緑美しい「杜の都」仙台市東北大学川内北キャンパスで開催されます.
この連合大会用のWeb ページ http://www.jfssa.jp/taikai/ を介して, 今回も会員とのコミュニケーションをはかりたいと思います.
また統計関連学会連合のホームページ (http://www.jfssa.jp/) にも関連情報が掲載されますので,ご参考願います.
現在, 企画委員会で検討している企画内容を紹介いたします. 市民講演会は少子高齢化社会へ向かいつつある国内状況に焦点をあて, 「21 世紀日本社会における人口統計および関連統計の役割(仮題)」を開催予定です. チュートリアルセッションは, 企画委員会がテーマと講演者を選定し開催する予定です. コンペティションセッションは,過去3回の経験を踏まえ参加資格,審査方法, 開催時間帯などを十分審議の上, 今回も開催する予定です.
企画セッションは過去3年と同様公募することにしました. 各学会の会員が一堂に会する貴重な機会ですので, 会員同士が互いに啓発され, 相乗効果が生まれるような企画を応募いただければ幸いです. ただし応募多数の場合には企画委員会で調整させていただくこともありますので,ご了承願います.
一般講演の申し込み締め切り日については, 事務を委託する業者と業務の量を打ち合わせ中で目下未定です. 現時点では5月下旬を目途にお考え下さい. 確定した期日は具体的な企画とともに2006年4月上旬頃第2報でお知らせいたします.
なお宿泊施設は斡旋いたしませんが, 周辺のホテル情報などは可能な限り提供いたします.
連合大会も今回で5回目です. 年々充実した内容になっておりますが, 今年度もさらに実りある大会になりますよう皆様のご協力をお願い申し上げます.
関連情報のご案内/学会員の声
科研費基盤研究 (A) 「医薬品の有効性・安全性の統計的評価法の新展開」に関する報告
研究代表者 岩崎 学(成蹊大学)
2004年度から2006年度までの3年間, 標記研究題目の科学研究費により研究活動を行なっている. 研究の遂行には,研究分担者としての計量生物学の6名の研究者ならびに計量生物学会の協力を得ている. 2005年度は以下のようなシンポジウムおよびセミナーを開催した.
2006年度もこの種のシンポジウムおよびセミナーを開催の予定である. 過去の記録ならびに今後の予定に関しては, 科研費のホームページ www.kakenbio.com にて情報提供を行なっているのでご覧いただきたい.
なお, 不完全データシンポジウム(東京および京都)報告集の残部があるので, 希望される方は岩崎までご連絡されたい(iwasaki@st.seikei.ac.jp).
○ Schaferセミナー
日時:2005年10月3日(月)17:30 - 19:30
会場:新宿ワシントンホテル新館
講演:
・Joseph L. Schafer (Pennsylvania State University) Missing Data, Multiple Imputation and Causal Inference
○ 増山シンポジウム
日時:2005年11月19日(土)13:30 - 17:30
会場:ホテルメトロポリタンエドモント(東京・飯田橋)
講演:
・清水邦夫(慶応義塾大学)分布論の芽―準恒常性とベクトル相関
・芳賀敏郎(元東京理科大学)幾何学的調査法の応用
・吉村 功(東京理科大学)サリドマイド問題の今
・広津千尋(明星大学)分散分析の拡張 - 増山先生の大学院講義からの巣立ち-
・竹内 啓(明治学院大学)推計学からの道
・討論:渋谷政昭(高千穂大学),柳川 堯(久留米大学)
○ 不完全データシンポジウム(東京)
日時:2006年1月23日(月)13:30 - 17:00
会場:ホテルメトロポリタンエドモント(東京・飯田橋)
講演:
・山口和範(立教大学)欠測値を含む多変量データの処理
・松山 裕・田中夕香里(東京大学)Estimation of Treatment Effect Adjusting for Non-Compliance Using the Intensity Score Method
・R. J. A. Little (University of Michigan) A Comparison of Methods for Estimating the Causal Effect of a Treatment in Randomized Clinical Trials Subject to Noncompliance
・R. J. A. Little (University of Michigan) Robust Likelihood-Based Analysis of Multivariate Data with Missing Values
○ 不完全データシンポジウム(京都)
日時:2006年1月25日(水)13:30 - 17:00
会場:ぱるるプラザ京都
講演:
・岩崎 学(成蹊大学)処置前後研究におけるカウントデータの解析と平均への回帰
・高井啓二・狩野 裕(大阪大学)Test of Independence for Categorical Variables with Nonignorable Nonresponse
・R. J. A. Little (University of Michigan) A Comparison of Methods for Estimating the Causal Effect of a Treatment in Randomized Clinical Trials Subject to Noncompliance
・R. J. A. Little (University of Michigan) Robust Likelihood-Based Analysis of Multivariate Data with Missing Values
○ 東京吉祥寺地区月例研究会
会場:吉祥寺東急イン
第1回:2005年4月25日(月)17:00 - 19:00
・岩崎 学(成蹊大学)定量限界, 検出限界を持つデータの回帰分析
・阿部貴行(万有製薬, 成蹊大学)不完全データ解析ソフトウェアの比較検討
第2回:2005年6月6日(月)15:00 - 17:00
・船渡川伊久子(東京大学)2つの時間要因がある経時測定データの解析
・渡辺琢也(成蹊大学)NLMIXEDプロシジャを用いた項目パラメータの推定
第3回:2005年6月27日(月)17:00 - 19:00
・山本英晴(中外臨床研究センター)Measure of Departure from Symmetry for Multi-Way Contingency Tables with Nominal Categories
・岩崎 学(成蹊大学)分割表解析の視点
第4回:2005年7月25日(月)17:00 - 19:00
・堀本勝久(東京大学)グラフィカル・ガウシアン・モデリングによる遺伝子ネットワーク推定
・金子舞子(インフォコム)ゲノム情報のデータマイニングソフトウェア
第5回:2005年10月31日(月)17:00 - 19:00
・清見文明(ノボノルディスクファーマ)共分散分析の無作為化比較臨床試験における留意事項
・岩崎 学(成蹊大学)共分散分析による共変量調整と推測精度の向上
第6回:2005年11月28日(月)18:00 - 20:00
・吉村健一(国立がんセンター)Randomization-Based Interval Estimation of Hazard Ratio Parameter
・岩崎 学(成蹊大学)Covariance Adjustment in Randomized Experiments and Observational Studies
第7回:2005年12月22日(木)17:30 - 19:30
・兼山達也(大日本住友製薬)Application of Signal Detection; The Frequency Analysis of Spontaneous Reports with Adverse Effects
・出口秀雄(フェーズフォワードジャパン)シグナル検出ツール, WebVDMEとCTSD
編集後記
雛祭りの季節を迎えました. かつて日本橋に雛市で有名な十軒店(じっけんだな)と呼ばれる人形屋さんの建ち並んだ一画がありました. 2年ほど前に最後まで残っていた文化11年創業の玉貞人形店さんが閉店してしまい, もはや昔日の俤はなくなってしまいました. いまはビルの陰にひっそりと十軒店跡の標識が残されているだけです. 昼休みに高層ビルの出現ですっかり様変わりしてしまった日本橋の街並みをあとに人形町まで散歩の足を延ばしてみると黒板塀の向こうには今が盛りと梅の花が咲き誇り, 花屋の店先には可憐なスミレの鉢植えが並び, ひと雨ごとに春はもう間近という感じです. 尾籠な話で恐縮乍ら, 編集子にとっては, 鼻水と涙が止まらない生き地獄のようなつらい季節の始まりでもあります.昨年は2月に入ってすぐに使い慣れていた抗アレルギー薬を予防的に服用し始めたのですが, 記録的な花粉飛散量に対してはまったく効果なく, 身をもって薬物治療の限界を思い知らされました.環境省発表資料によれば, 関東地方の今年のスギ花粉飛散量は昨春の10%程度, 例年の30%程度, 全国的にも例年に比べて飛散量が少ないと予想されています.予測が外れないことを祈るばかりです.
次号は梅雨明けの時季に発行予定です.
日本橋の河岸より
計量生物学会ニュースレター90号
2006年2月28日発行
発行者 日本計量生物学会
発行責任者 丹後 俊郎
編集者 佐藤健一, 酒井弘憲