チュートリアル
5月15日(金) 午前
テーマ : 「因果探索」
内容:機械学習と因果推論はそれぞれ盛んに研究され大きく発展してきている。さらに境界領域の研究や人的交流も活発になってきている。例えば,機械学習を用いて因果推論における因果効果をより適切に推定したり、因果推論を用いて機械学習の予測精度や解釈可能性、公平性を向上させたりする研究が行われている。いずれの場合にも、はじめに変数の因果構造を特定しておく必要がある。因果探索は,変数の因果構造を表す因果グラフをデータから推測するための方法論である。因果探索は、Judea Pearl (2019, The seven tools of causal inference with reflections on machine learning, Communications of the ACM)においても7つ道具の1つとして紹介されている。本チュートリアルでは、因果探索のフレームワークや主な方法、適用事例について、3名の講師により解説を行う。特に線形性と非ガウス連続性を仮定するLiNGAMモデルとその拡張 (https://sites.google.com/site/sshimizu06/lingam) について解説する。
講師・内容(予定)
- 清水昌平(滋賀大学データサイエンス学系, 理化学研究所革新知能統合研究センター)
「因果探索の基礎(仮)」 - 前田高志ニコラス(理化学研究所革新知能統合研究センター)
「未観測共通原因が存在するときの因果グラフ推定」 - 井元佑介(京都大学高等研究院)
「LiNGAMモデルに基づく遺伝子制御ネットワーク推定」
特別セッション:5月16日(土) 午後
セッション名:「機械学習への招待(1)統計的機械学習と深層学習」
オーガナイザー:川口淳(佐賀大学),二宮嘉之(統計数理研究所),松井孝太(理化学研究所革新知能統合研究センター)
趣旨:
近年、AI診断を始めとして様々な人工知能技術が生物・医療の分野へ導入されてきています。例えば、V. Gulshan et al., JAMA, 2016.ではAIによる糖尿病性網膜症の診断や重要度の判断が専門家と同等の精度を示すことが報告されました。また、B. Bejnordi et al., JAMA, 2017.ではAIが乳がん患者の病理画像から転移部位を正確に予測可能であることが示唆されました。これらの結果は、従来上記のような問題を専門的に扱ってきた生物統計の専門家にとっても、もはや人工知能技術が無視できないレベルに達しつつあることを示していると考えられます。
ところで、現在人工知能と呼ばれているものの多くは、深層学習に代表される機械学習の諸技術、 すなわち大量のデータから有用な知識を抽出し、 それを用いて精度の良い予測を行う統計的機械学習のアプローチに基づいて研究開発が行われています。この観点から、現在の人工知能技術は(生物)統計学と非常に親和性の高いものであると言えるでしょう。また最近では、機械学習の専門家の間でドメイン知識(例えば医療分野に独特の先験的な知見)を積極的に取り入れたモデリングの重要性が指摘されており、各分野との連携を模索する動きも活発になっています。
本セミナーでは、特に深層学習にフォーカスした機械学習の導入を行い、会員の皆様の技術習得および専門家との連携を検討するための一助とすることを目指します。
演者・演題(予定)
座長:川口淳(佐賀大学),二宮嘉之(統計数理研究所),松井孝太(理化学研究所革新知能統合研究センター)
- 浜本隆二(国立がん研究センター)
「Precision Medicine時代のAI研究:その可能性と課題」 - 鎌谷高志(東京大学)
「TBA」 - 松井孝太(理化学研究所革新知能統合研究センター)
「ニューラルネットによる統計的機械学習の基礎」 - 原聡(大阪大学)
「機械学習モデルの判断根拠の説明」
スケジュール
- 講演申し込み:
- 2020/3/6 - 4/3
- 原稿締切:
- 2020/4/13
- 事前参加申し込み:
- 2020/3/6 - 4/30
- チュートリアル:
- 2020/5/15 午前
- 年会:
- 2020/5/15 - 5/16
お知らせ
- 2020/3/6
- 年会ホームページがオープンしました